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一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)大谷剛久事務局長が語る、連合の役割と展望

一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)大谷剛久事務局長が語る、連合の役割と展望
イベント情報

2019年10月23日(水)に凸版印刷株式会社、株式会社電通、株式会社サイバー・コミュニケーションズの三社共同で開催されたeスポーツイベント「eSPORTS TRINITY」の第1部のビジネスセミナー「eSPORTS BUSINESS SEMINAR」において、一般社団法人日本eスポーツ連合(以下「JeSU」)の大谷剛久事務局長がesportsの国内市場動向、及びJeSUの役割について説明されました。

またビジネスセミナー後の企業対抗戦は別途レポートしているので、是非本記事読了後チェックして欲しい。

第1回eSPORTS TRINITYイベントレポート!キャリアを越えた熱き企業対抗戦「AFTER6 LEAGUE」に熱狂

そもそもJeSUとは?

esportsのイベント関連のニュース等でJeSUの名前を見かけることが多くなっているが、ここで改めて、どういう役割をもっていて、実際どういう活動をしているかを大谷事務局長が説明された。

JeSU大谷剛久事務局長
大谷剛久事務局長
Saiga NAK

JeSUの設立趣旨にあるように、本団体の目的は「日本におけるeスポーツの振興を通して国民の競技力の向上及びスポーツ精神の普及を目指し、これをもって経済社会の発展に寄与すること」である。
つまりはesportsの日本国内普及が目的であり、そのために必要な活動を行っているのである。
なぜ個別のゲーム会社等だけではなく、このような業界横断的な団体が活動する必要があるかについては後述する。

本団体は従来存在していた、一般社団法人日本eスポーツ協会、一般社団法人e-sports促進機構、一般社団法人日本eスポーツ連盟が合併して2018年1月に設立され、世界では珍しく、一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)、及び一般社団法人日本オンラインゲーム協会(JOGA)のようなIPホルダーが加盟する業界団体の全面的な協力を得ているのである。

当然のことながらゲーム会社のみならず、関連する企業が多数会員に名を連ねている
大谷氏も元は2008年よりコナミグループで広報業務に携わっており、2019年4月よりJeSUの事務局長として活動を推進している。

日本国内のesports市場規模は48.3億円

市場規模について説明する大谷事務局長
市場規模について説明する大谷事務局長
Saiga NAK

日本国内市場規模は2018年で48.3億円あると推計され、2022年には99.4億円に成長すると見込まれている。
その中でもスポンサーフィーが圧倒的に多く75.9%を占めている。

一方で世界のesports市場は2018年には934億円と推定され、2022年には1933億円に成長すると見込まれている。
つまり2018年時点でも2022年でも世界シェアの5%強を日本が占める計算となる。
この数字を大きいと見るのか小さいと見るのかはあるが、2018年の日経MJヒット商品番付で西の小結に選出されたり、新語・流行語大賞トップテンを受賞したりなどしており、確実に普及は進んでいると思われる。
実際esportsの認知度調査においては2017年9月の時点で14.4%だったのが、2019年1月では48.0%と大幅に認知が広がっていると言える。

JeSUの役割

ではこの成長していく市場の中でのJeSUの役割は?

JeSUの役割を知るにあたって、まずは設立の背景を知ってもらう必要がある。
ここには大きな目的が2つあった。

ひとつはオリンピックやアジア競技大会など公式な国際大会への日本代表選手の派遣を可能にすることだ。
2018年開催のアジア競技大会に日本から選手を派遣するためには、日本オリンピック委員会(JOC)を通す必要があったが、そのための要件として「国内を統括する団体」という位置付けである必要があった。
そこで前述の3団体が統合し、アジア競技大会への選手派遣が実現したのだ。

もう一つはプロライセンス制度を導入することによって、法的に安心安全な賞金付き大会の開催を可能にすることだ。
こちらはesports大会の賞金問題でハードルとなっている景品表示法及び賭博法に対して抵触しないように運用する仕組みとして、JeSU公認のタイトル規約・大会規約・プロライセンス契約を用いるということだ。
実際は大谷事務局長のプレゼンテーションでも景品表示法に抵触しないために、「プロライセンス制度を使わなくても、賞金付き大会を開くことはできる」としているし、賭博法に抵触しないためにも「参加費を徴収する大会において、第三者が賞金を提供する、賞金と運用費用を完全にわける(参加費を賞金にまわしてはいけない)」等の運用が可能としているが、あくまでもわかりやすく、透明性が高い大会を開くための線引きとして運用している、とのことだ。

ライセンスについて説明する大谷事務局長
ライセンスについて説明する大谷事務局長
Saiga NAK

JeSUは今後も国内の環境整備に積極的に取り組むとしており、統括団体ならではの法規制への対応やトップ選手の技術向上、グラスルーツの育成を推進していくとのこと。
具体的な事例として、学校での活動を推進するために、平日に開催された大会に生徒が参加できるように、統括団体として選手が在籍する学校に連絡し、公休にしてもらうように依頼をかけるというようなことも行っていると説明した。
全校が受け入れてくれたわけではないそうだが、統括団体としてこのような行動をとることにより、esportsの認知と理解が進めば、と考えている。

法規制への取り組みとして大きかったのはesports大会の賞金に対してノーアクションレター(ある行為が法的規制に抵触するか監督官庁に事前に確認し、その回答を監督官庁が公表する行為)を提出し、「賞金の提供が仕事の報酬等の提供と認められる場合には、景品表示法に違反しない」という回答を得たことだ。
この回答により、esports大会における賞金の位置付けがより明確になった。

急速に成長するとともに、変化を余儀なくされているesports業界において、JeSUならでは提供できる価値は確実にあり、国内の環境整備のみならず、国際の場における国内プレイヤー、国内で活動する海外プレイヤーを含めた総合的な環境構築に向けて一石を投じて欲しいと感じた。

地方支部も展開

JeSUの役割と展望
地方支部について説明
Saiga NAK

JeSUでは本部以外に各都道府県に地方支部を設け、地方展開をおこなっている。
現在ある地方支部は、

  • 北海道eスポーツ連合
  • 山形県eスポーツ連合
  • 富山県eスポーツ連合
  • 石川県eスポーツ連合
  • 東京都eスポーツ連合
  • 静岡県eスポーツ連合
  • 愛知県eスポーツ連合
  • 大阪府eスポーツ連合
  • 兵庫県eスポーツ連合
  • 岡山県eスポーツ連合
  • 大分県eスポーツ連合

上記の11支部となっており、まだ設立が決まっていない地方支部は募集中。
募集中の対象地区は下記URLから確認できる。
https://jesu.or.jp/contents/news/news_detail_190425/

地方支部になれる条件などは詳しく説明はなかったが、厳しい審査の元、JeSUより認定されるらしく、名乗りあげれば誰でもなれるわけでないとのこと。
後日JeSUのサイト確認したところ、支部規約が記載されているので興味のある方は是非確認して欲しい。

ビジネスセミナーの感想

esports動向を追っている当サイトでは、既知な情報も多く編集部が知りたかった情報は少なく、質疑応答時間もなく少し物足りない感じもしたが、今回はバイアスレポートにならないよう、esportsに関わっていない外部の方もお連れした。

まだesportsというワードだけを知ったという段階で、これからesportsに関わろうとしている企業向けのビジネスセミナーとしては、とても有意義な内容だったと思う。

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凸版印刷株式会社、株式会社電通、株式会社サイバー・コミュニケーションズの三社共同開催による企業向けeスポーツイベント「eSPORTS TRINITY」が2019年10月23日(水)にトッパン小石川ビルで開催されました。今回は取材するだけでなく、企業対抗戦(ストリートファイターVAE)にも新卒エンジニア「ナッシュ田島」も